大笠山・笈ヶ岳縦走

年月2021年7月
期間二泊三日
登った山前笈ヶ岳(1,522m)大笠山(1,822m)
笈ヶ岳(1,841m)
行程行き横浜(夜行バス)富山(車)桂湖
登山・桂湖(2:20)前笈ヶ岳(1:40)大笠山(7:00)ビバーク地点<泊>
・ビバーク地点(1:30)笈ヶ岳(11:00)ビバーク地点<泊>
・ビバーク地点(4:00)大笠山(2:50)前笈ヶ岳(3:20)桂湖
帰り桂湖(車)富山<泊>(新幹線)東京
タイム33時間40分(コースタイム不明)
同行者なし
宿泊 ビバーク2泊
天候
温泉
コメント 日本三百名山の残りが残り10座になった頃からラスト1座をどこにするか考えていたんですが、せっかく大笠山に登るなら、併せて笈ヶ岳にも再挑戦したいなと思ったのでここを最後にしました。笈ヶ岳には2016秋にも清水谷から登ったのですが、その薮も酷かったとはいえ、田中陽希君もネをあげたという大笠山〜笈ヶ岳の稜線を歩かないで無雪笈ヶ岳の話をしていいのか、ということで準備。まず激藪なのでザック外付はNG。ということでシェルターは仕方ないけど、全体的に荷物を削りました。今回は着替えを車に置いておけるのが大きいです。水も2L。予定では初日に大笠山まで3時間、さらに6時間漕いで笈ヶ岳山頂でシェルター泊、翌日に同じルートを下山、でした。
 夜行バスで富山駅、8時にレンタカーを借りて出発はおなじみのコース。高速で五箇山ICまで走って桂湖ビジターセンターに9:30。オリンピックボートの事前合宿中のようでした。前回猿ヶ馬場山のあと車中泊したところに車を停めて出発。天気は微妙なので最初からレインコートを着込んで出発しました。結果からいうと初日午後雨、2日目3日目も断続的に雷雨含む雨、だったのでほぼレインコートは着て行動してました。

 想定外だったのは大笠山が予想より険しく、補助ロープの必要な登りがテント泊装備にはキツい。前笈ヶ岳を経由して大笠山まで結局4時間かかりました。大笠山山頂で300名山完全登の撮影をして、いよいよ笈ヶ岳へ。踏み出してすぐ踏跡が無くなるというのは本当で、それでも稜線は細いので掻き分けつつ登って行きます。単純にいうと一回下って登り返せば笈ヶ岳なのですが、この最初の下り区間が全体として最もキツいですね。とにかく潅木が多くて巻けないです。巻こうとしても笹が流れていて下手したら滑落します。行きは2時間かかり、一旦笹だけの漕ぎやすい区間に入って30分、ただその後またキツい藪が続きます。通りやすいところよりも先に土が見えているところを掻き分けて進みました。気がついたら6時間、日没後もライト付けて進もうとしましたが、方向が定まらずすぐ左右のふちに来てしまうにでほとんど進めず、22時頃ギブアップ。下りたあと2つ目の小ピークを乗り越したあたりで、たまたまルートに人が寝られるくらいのスペースがあったのでそこにシェルターを広げ、シュラフとシュラフカバーだけ入れて寝ることに。実際今回の笈ヶ岳ルートは笈ヶ岳山頂以外テントが張れるスペースは1箇所もありませんでした。ここからだと2時間くらいかかるかな、と思いつつ翌日の算段をして仮眠しました。

 翌日は4時半から漕ぎはじめ、結局2時間半で7時に山頂着。山頂は皮肉なほどに広く、テントは余裕で張れます。山頂の達成感より帰りのことが頭を支配する状態。7時半に戻り始めた時点で予定通りの下山は難しいなと思ったので、電波が立つのを確認して明日のZOOM会議を富山参加にする可能性があることと、レンタカー屋に返却が明朝になることを連絡しました。
 笈ヶ岳からのくだりはまだそこそこ順調だったのですが、異変は広めの尾根を北東に下る部分で起こりました。なぜかどうやっても目指す尾根に乗れません。通常であればトラバースして復帰するのですが、笹が流れていて無理です。何度も登り返してみましたがうまくいかないので、下に見える斜面まで降りて登り返して復帰しました。滑落は避けられましたが、ヒヤヒヤものでした。登りは問題なかった場所ですが、下りはこれがあるんですよね。。ただこれで2時間とかなりの体力を持っていかれ、ペースがガクンと落ちました。
 登り返しに入って、少し漕ぎやすい笹薮の区間に入った頃には日が暮れ初めており、必死に1時間漕いだ先がまだ尾根転換点だったことに気づいたところでギブアップ。大笠山まであと1時間くらいかなとは思いましたが、もう真っ暗ですのでここでビバーク。ここは電波が立たないので、連絡出来ないなぁと思いつつ就寝。

 深夜にスマホをチェックしてみると、富山県山岳警備隊からSMSが入っていました。何か「〇〇データモード」という見たことがないモードになっており、「おお!」と思って返信と会社へのメール、ツイッターなど試しました。おそらく社長が電話してくれたんだろうと思いましたが「予定外のビバークだが体調に問題ないので明日下山します」と返信でき、「桂湖に下山したら連絡してください」という返信を見て安心できました。
 翌朝はでも大笠山まで4時間もかかってしまいました。ここは1番藪がキツいところで、流れる笹を渡って巻く力もないので正面突破で潅木に突っ込んでいくしかなかったのです。それだけに大笠山の山頂標を見た時は泣きそうでした。避難小屋について水がもうないので、小屋に置いてあった数百mlの水を煮沸して使わせてもらい、リゾッタを食べました。
 ここから桂湖まで3時間行程ですが足の踏ん張りが効かず6時間かかって下山。下山後に桂湖ビジターセンターで県警の人の事情聴取をうけ、ビジターセンターのご好意でカップラーメンやお茶をご馳走になり、運転が心配ということで五箇山ICまで先導までしてもらい、お世話になりっぱなしでした。実際高速の長距離は心配だったのでPAで仮眠しつつ富山まで。翌朝帰京しました。記憶に残る登山となってしまったなとおもいます。