笈ヶ岳登山

年月2016年9月
期間日帰り
登った山笈ヶ岳 (1,841m)
行程行き東京(新幹線)金沢(タクシー)一里野
登山・一里野(1:00)林道終点(0:35)取水所(1:25)水晶谷(0:45)わさび小屋(1:30)殺生岩(1:50)笈ヶ岳(1:30)殺生岩(1:20)わさび小屋(0:35)水晶谷(1:20)取水所(0:35)林道終点(1:00)一里野
帰り一里野(タクシー)金沢(新幹線)東京
タイム13時間25分(コースタイム不明)
同行者なし
宿泊
天候
温泉 一里野温泉(岩間山荘)
コメント 200名山の中で有数の難関、笈ヶ岳へ行ってきました。この山は登山道がないため、残雪期に雪を踏んで登るのが一般的でしたが、数年前から最後の一時間藪こぎをすればたどり着けるルートがあることに注目しており、ヤマレコなどを細かく読んでおりました。そうこうする間に田中陽希くんが200名山一筆書きで到達した大笠山からの藪こぎルートとは別です。
 この西尾根ルートは南西から川沿いに巻道を遡行してアプローチするルートですが、基本的に皆林道終点まで車で行ってますので、車を使わない私は尾添川対岸の一里野高原に二連泊で宿を取りました。前日に宿で雑談しながら確認すると、対岸に渡るには北陸電力の吊り橋を使うのが一番早いとのこと。地図に載っていないため、中宮の集落からの大回りを覚悟していたので、この情報は助かりました。その日のうちに林道の途中まで下見をし、翌朝午前4時を期して早めに就寝。今年登った人のログは目にする機会がなくて今年は行けるのか若干心配だったのですが、地元のヒトが「今年は薮がキツくて苦労する」と言っていたと宿で聞いたので逆に「崩壊箇所とかはないんだな」と安心した次第。

 翌朝4時に宿出て林道終点までは60分。吊り橋を渡るには石段を297段降りる必要があるのですが、暗闇のライトの光ではなかなか困難なので前日下見しておいてよかったです。林道終点から北陸電力の取水口まで北陸電力が付けた崖沿いの道を辿ります。迷うことはありませんがとにかく細い。ライト片手に慎重に進みます。途中に轟轟と水が落ちる沢を通過しますが、切れ落ちていて落ちたら終わりなので少しよじ登って上の方を渡りました。ここだけでなく、この日は終日雨だったので水量はどこも多かったですね。
 取水口に着いた頃にようやくライトなしで歩ける明るさになったので、対岸に渡ってから熊鈴を着けて、山道に入ります。ここからは清水谷にあるわさび小屋の管理人が手入れしている山道です。道は全て右岸に着いており、一箇所だけ川沿いを10mほど進みますが、対岸に渡ることは一切ありません。しかもものすごい高巻き道で全く沢が見えないあたりを進んでいきます。水晶谷は凄い水量で鉄板の橋が渡されて、ワイヤーが張られていますので慎重に渡り、再び山道へ。ここから先は比較的緩やかな道が続きます。右手の対岸にわさび小屋が見えたあたりに取り付きのリボンがあるのですが、見落として一回わさび小屋まで行ってしまい、結構探し回りました。入るとすぐに高い草に阻まれてしまうのですが、踏めるところを掻き分けていくと木にリボンが付いているのが見え、そこから先の山道が見えました。ここから殺生岩までは道も明瞭でリボンも付いているのでさほど迷わないです。殺生岩の手前あたりに少し不明瞭な箇所がありますが、登りなので無理矢理登りました。これ、帰りにケチがついた場所です。
 殺生岩の右側を登ることは知っていたので、細い道を籔を払いつつ進み、ロープに従って岩場を登るといよいよ藪こぎ開始。藪の濃さは春に登った男鹿岳と変わらないのですが、男鹿岳は木などに目印を付けてあるところが多く、目標にしやすかったのに対し、ここの藪は目印付いていてもほぼ視認出来ません。足元の藪を見ながら踏めそうなところをかき分けていくと、目印に出くわして「あ、ここでいいんだな」とその繰り返し。尾根がそこまで広くないので方向を定めやすいので何とかなったと思います。それにしても藪こぎは延々と続き、山頂に飛び出すまで1時間50分掛かったという。

 ここまで藪こぎの連続だと帰りが心配になったので、快哉を叫ぶまもなく下山を開始。殺生岩までは無事戻って来ることが出来ました。雨のため岩が滑りやすくて長いロープの下りはキツく、藪こぎと合わせて腕がパンパンになりました。殺生岩から先は大丈夫だろうと下り始めて早々に道を見失いました。そう、登りを強引にこなしたところ。。この下はリボンが多目に付いている区間なのに明らかに違うぞ、と思い登り直して再確認すること数度、どの方向でもそれらしい道に出ないのですが2時間近く浪費してしまったので、コンパスで真西に下り方向がズレたら修正を繰り返していたら程なくリボンにぶち当たりました。
 ここからは順調だったのですが、何分アプローチの長い山なので2時間のロスは最後まで響きました。雨のせいで急坂がドロでツルツルになっており、行きと同じくらい時間が掛かりました。取水口着が18:30でほぼ暗くなっており、再び暗闇の中ライトで一時間半歩行。本来は18時に宿に帰着する予定だったのですが宿のヒトにも心配掛けて申し訳なかったです。
 帰りに水晶谷の鉄板橋を渡ってひと息ついたときに「ドーン!」という音と共に30m下流で土砂崩れが起きたのは驚きました。木々や土砂が川に落ちていくのをあんなに近くでみたのは初めてです。